IPOの体制作り
-
1) 上場準備に必要なタスク
IPO準備は、主幹事証券会社および証券取引所の審査を通過して初めて上場という結果を得ることができますので、審査を通過することは...
IPO準備は、主幹事証券会社および証券取引所の...
IPO準備に必要なタスクと人材
-
2) 準備体制の整備
IPO準備で必要なタスクをこなすには、大きく分けて下記3つのタスクを取りまとめる人材がそれぞれ必要です。1 経理・ディスクロー...
IPO準備で必要なタスクをこなすには、大きく...
IPO準備に必要なタスクと人材
-
3) 管理部門体制の整備
上場企業になるためには不正に対して内部牽制を利かせるために「財経分離」および「実施者と承認者の区分」を行わなければなりません...
上場企業になるためには不正に対して内部牽制を...
IPO準備に必要なタスクと人材
管理部門の採用
人員体制の強化
昨今、IPOをスケジュール通りに達成するためには、管理体制の人員強化は、会社業績と同じくらい重要な要素の一つとなっています。
業績拡大のための営業職や技術職などの増員ももちろん重要ですが、上場審査をパスするために、また上場後の管理体制を盤石なものにするために、管理部門の人員体制を強化していく必要があります。
人員体制の強化には、外部からの採用が一番の近道ですが、人員や時間に余裕がある場合は、外部からの増員はできるだけ最小限にし、社内の人材を教育して管理部門を構築することも可能です。また、IPOのためだけの増員をしてしまうと、上場後にミッションややりがいが減り、採用した人材が辞めてしまうことも少なくありません。そのため、上場後の管理部門及び人材の活躍できる場をイメージして採用することも大切です。また、IPO準備時にのみ発生する業務などは、一時的な費用は発生するものの、外部のコンサル会社に依頼することも一つの方法です。
以下は、主に外部からの採用を前提として、上場3期前(n-3)から直前期(n-1)までの目安となる採用時期や年収、採用のポイントなどをご案内させていただきます。
■各職種の採用スケジュールイメージ
■IPOにおける組織図の一例
■IPOにおける管理部門体制の一例
-
1.CFO(管理部長)
CFO(Chief Financial Officer)は日本語で最高財務責任者。その名の通り財務戦略を担うトップで、経営ボード(役員クラス)となる人材。IPOをするために、必ずしもCFOというタイトルの人材を置く必要はなく、企業によっては管理部門長(管理本部長やコーポレート本部長等)として、経理・財務・総務等、管理部門の管掌取締役に置くことが必要...
採用時期: ~ n-3(n-2)
-
2.上場準備責任者(担当者)
上場準備責任者(担当者)は、必ずしも置く必要はないが、採用する場合は主幹事証券会社が選定される前後で配置していることが多い。主に、上場準備室や経営企画室(または社長室)が配属部署になる。IPOを目指すことが経営判断でなされたのち、上場に向けた旗振り役となり、外部の証券会社や監査法人などとのパイプ役となる人材...
採用時期: n-2 ~ n-1
-
3.経理、財務
スタートアップやベンチャー企業の場合、経理の増員はIPO準備においてほぼ必須となり、管理部門の求人で最も依頼が多い職種。内部牽制の観点からも、記帳を行う経理と、出納を行う財務とをそれぞれ別の担当者が行わなくてはならない。...
採用時期: n-3 ~ n-1
-
4.総務、人事、法務
IPO準備においては、総務部門の人員として最低1名は必要となる。各種規定の整備や、労務体制構築、労務問題対応、株主総会対応など。また、事業拡大のための採用や、既存社員のための教育や人事制度の見直しなども重要になることが多く、採用を含む総務及び人事部門の体制にする場合は、少なくても2~3名の人員を配置しておきたい...
採用時期: n-3 ~ n-1
-
5.経営企画
IPO準備における経営企画は主に、予算策定、予算管理、予算実績差異分析など、IPOに欠かせない予算統制に関する実務が中心。アーリーステージであれば、管理会計の導入、コーポレートストーリに基づいた事業計画の策定など。小規模組織のIPOの場合、CFOや管理部長、もしくは財務部長が兼任しても可...
採用時期: n-2 ~ n-1
-
6.内部監査
内部監査の担当者は、主に内部監査室を設置して、1名以上を配置。IPOの多くはまずマザーズなどの新興市場への上場を目指すため、専任担当者は置かず、総務や法務、経営企画部門の担当者が兼任していることも珍しくない。一方で、本則市場への直接上場や、新興市場からの市場変更の場合は、ほぼ必ず...
採用時期: n-2 ~ n-1
-
7.監査役(常勤・非常勤)
監査役会は3名以上の監査役で構成し、内1名は常勤、半数以上は社外監査役であることが必要。また、それとは別にCGコードによって社外取締役の設置も推奨されており、審査を通過するうえで事実上の必須項目となっている新興市場もある(東証は必須)。その為、監査等委員会設置会社へ移行...
採用時期: n-2 ~ n-1
IPO準備の転職市場と採用のポイント
2014年から現在まで、年間90社前後がIPOしているのに対し、その約8~10倍以上の企業が具体的にIPOを検討し、準備を進めていると言われています。そのような中、IPO準備企業に限らず、大手企業から中小企業、外資系企業まで、増員や欠員補充など、人手不足による売り手市場が顕著になっています。一方で、市場に求人が多くあることによって転職の選択肢が増え、幅広い年齢と業界で転職希望者も増えています。管理部門の転職は、着実な性格を持った方が多い職種だけに、他の職種に比べて大手・安定志向が顕著に出てしまうため、比較的安定よりは将来性や成長性を期待するベンチャー企業においては、「超売り手市場」での採用になることを念頭に採用活動を行う必要があります。 非上場企業にとっては、「管理部門=コスト」と考えられることが多いのに対し、IPO準備企業にとっての管理部門は、IPOの実現に必要であるのはもちろん、強固な管理体制や上場後の適正な会社運営にとって重要な存在になります。そのため、採用コストや報酬を抑えようとするあまり、仮になんとかIPOを達成できたとしても、上場後に人材が流出してしまうことも珍しくありません。また、最近では避けて通れない“働き方改革”についてもIPO準備は例外ではなく、「IPO準備=忙しい」を当たり前にするのではなく、会社として働き方についてどのような考えをもっているか、どのような取り組みをしているかを候補者に伝えることで、採用の成功・人材の定着につながっていきます。 現在の市況下では、IPOに必要な管理部門の優秀な人材の採用は簡単ではありませんが、面接においては「選ぶ面接」から「選ばれる面接」を意識した「動機づけ」を中心とした選考内容へシフトし、任せる仕事内容はもちろん、会社の職場環境や事業の魅力、会社が目指すビジョン、採用ポジションの必要性を応募者にしっかりと伝えることが、採用で他社に負けないために必要となってくるのではないでしょうか。