インタビュー&コラム
「想いをカタチにできる世の中を創る」私の原点 CFOインタビュー
「想いをカタチにできる世の中を創る」をミッションに掲げ、Co-WARC事業(コンサルティング)、M&Aアドバイザリー・サービス事業、タレントエージェンシー事業(管理系人材紹介)の3つの事業を軸に、スタートアップ、ベンチャーを中心とした成長企業支援を行っている株式会社WARC。今回は、ビジネスのプロ集団とも言える同社の取締役 石倉壱彦氏にお話を伺いました。
会計士試験に合格。大企業との仕事が多かった監査法人時代
― 石倉さんは2005年に会計士試験を突破されて、あずさ監査法人に入られていますよね。監査法人時代はどのような仕事をされていたのですか?
あずさ監査法人では、国際部という部署にいまして、どちらかというと国内の大企業ですとか、海外の会社の日本支社、子会社等の監査業務やアドバイザリー業務をメインに取り組んでいました。なので、スタートアップとかベンチャーにはこの時点では全然馴染みがなかったんですよね。
― 仕事内容や規模としては、とてもやりがいがありそうですが、どのタイミングで転職を考えたのですか?
監査法人に約7年間位いて、その中で非常にたくさんの貴重な経験を積めたのですが、ちょうどマネージャーに昇格するぐらいの年次のときに、すごくフラットに人生について思案しました。このまま監査法人にいるのか、外に出てチャレンジするのか?ということを考えたんです。なので、監査法人が嫌で辞めたわけではないんですよ。
僕はどちらかと言うとめちゃくちゃ恵まれていたと思っています。上司もメンバーも、すごく刺激を受けたし、人間的にも素晴らしい人ばかりでしたので。だからすごく楽しかったですし、辞める理由もそんなに無かったんですよね。だけどやっぱり外に出た先輩や同期を見て色々触発されていく中で、自分のキャリアというか、自分がこれからどういう風に生きていきたいかみたいなことを悩み抜いて、最終的に決断したという感じです。
WARC創業のきっかけになった、サイバーエージェント時代
― そのご決断後に入られたのがサイバーエージェントでしたよね。なぜ事業会社、そしてサイバーエージェントを選ばれたのですか?
転職しようと決めてから、外資系の金融機関やコンサルですとか、事業会社も一通り受け、一通りオファーをいただき、いろんな選択肢がある中で選んだのがサイバーエージェントでした。形としては、僕が独立していてサイバーエージェントに対してフルコミットの常駐で入ってコンサルティングをするというか、PMI的に一緒に事業を創っていくような感じだったのですが、これは実はWARCを創業したきっかけにもなっています。いま、WARCの事業のひとつにM&Aアドバイザリー・サービス事業がありますが、これは僕がサイバーエージェントでやっていた形と非常に似た形態なんです。
サイバーエージェントに入った時期は、ちょうどソーシャルゲーム事業を立ち上げている時だったんですね。その事業で7社ぐらい子会社を作っていたので、その子会社のコーポレートの管理等もしていました。子会社が一気に7社立ち上がったばかりで、その立ち上げを支えるコーポレートメンバーがいないという課題があったので、入り込んで一緒に作っていった感じで。僕にとっては初めての経験でもありました。
このとき、事業に触れたいという気持ちがあったんですよね。金融は金融で、ハードワークですが良い給料を稼いで頑張って働けるイメージもあったし、コンサルでも同じく良い経験が出来たとは思います。ただ、監査法人でもそうだったんですが、やっぱりアドバイザリー業務の域を出ないんですよね。監査業務は出来るけど、その前にはやっぱり事業があってクライアントがいて、そこに自分が客観的な立場から意見を述べたり、コミュニケーションを取ったりするというのが仕事だったので、その前段階の事業に触れてみたいっていう気持ちが強くなったんです。どっちが良い悪いというのではなくて、その時の自分はそうしたかったという話で。結局事業会社に最終的に行きたいのであれば、最初から行ってしまった方が良いっていうのもあったので、何も分からず飛び込んだというのが最初のきっかけだったんです。
なぜサイバーエージェントなのかというところでは、当時ソーシャルゲーム事業は日本国内で一番伸びているマーケットだったので、そこで新規に立ち上がった子会社7社で、急成長する会社もあれば大変な会社もあったりというのも見ることができましたし、あとはサイバーエージェントは若い社員を社長に抜擢して成長させるというチャレンジもしているので、そういう若い経営者が身近にいて彼らと一緒に仕事をするというのも、すごく刺激になりましたね。会社としての組織作りもすごくしっかりしていて、広報・PRとかもすごく強いんですよね。事業会社が事業を作る上で組織をこれだけしっかり作っているというのは監査法人のときには分からなかったことなので、それも知ることができてすごく楽しいなと思いましたね。結果、サイバーエージェントでは大体2年ぐらい仕事しました。
そうしたら、今度は経営のほうをやりたいなと思いはじめて。サイバーエージェントでは、若い経営者が身近にいて経営していて、そのときの仕事はあくまでも彼らを支えることがメインだったので、自分で意思決定をして事業や組織を大きくするみたいなところに興味が向いたんです。
ただ、その前に経験したいこともありました。サイバーエージェントに入って初めてスタートアップ、ベンチャーに触れ、そこでのファイナンスを経験してみて、自分の強みであった会計とか税務の知識に加えて、ファイナンスの専門性も磨いていきたいなと思ったんです。
その経験をつけるために、2014年の1月に株式会社アカツキにジョインしました。