インタビュー&コラム
『スペシャリティ+複数経験で強い人材へ』 CFOインタビュー
「お金を前へ。人生をもっと前へ。」
人生においてツールでしかないお金ですが、自身と家族の身を守るため、夢を実現するためには必要不可欠なものであるはずです。そこで、そのお金と前向きに向き合い、可能性を拡げることが出来るサービスを提供することにより、ユーザーの人生を飛躍的に豊かにし、より良い社会創りを目指しているのが株式会社マネーフォワード。今回は、同社の取締役執行役員 管理本部長の坂裕和氏にお話を伺いました。
小学生のときから株価を記録するのが趣味だった
― 坂さんと言えば、弁護士資格を持ちながら事業会社の役員をされているという、あまり例のないキャリアが特徴ですが、最初のキャリアは証券会社だったのですよね。
そうですね。証券会社で営業の仕事をしていました。
元々、小さい頃から株の売買にとても興味があったんですよ。小学校3、4年生の時から新聞を毎日見て、自分で選んだ銘柄の株価を記録し続けていました。ちょっと変わっていたんですよね。
― なぜそんなに小さな頃から株に興味を持ったのですか?
小学1年生から小遣帳の数字と現金があわなかったら小遣をもらえない環境だったので、自然と数字を記録するということが好きというか習慣になっていました。中学生になっても日経平均や円相場を毎日記録していましたよ。
そんな経緯もあって、株の売買への興味はずっと続いていました。それで、将来は証券会社に入ってディーラーの仕事をしたいと思っていたので、就職活動をして証券会社に入りました。単純に、証券会社に入ったら自由に株の売買が出来ると思っていたのですけど、実際は名古屋での営業職に配属になりました。まず3年位は営業をやりなさいと言われまして。
直感で申し込んだ司法試験
― 2年程で退職されていますが、これは弁護士になろうと思ったからなのですか?
いえ、退職を決めたときは全く思っていなかったです。
営業を2年1か月やっていて、その間に行政書士、CFP、社労士の資格を取ったんです。これだけ資格があれば、内勤になれるかなと思いまして。でも、それは叶わず。
ずっと営業をやっていくつもりもなかったので、ここで退職することにしました。このとき、特に次の働く先を決めていたわけではありませんでした。
それからは、「やはりディーラーになりたい」と思って色々検討していて、ある日東証で開かれた先物オプション取引のセミナーに行ったんです。その帰り道、本屋さんに寄ったら“7割の人が弁護士になれる”みたいなポスターを見つけまして。7割なれるなら5人中4人がなれるし、弁護士になれば内勤ができるのではないかと考えて、ほぼ直感で締め切りギリギリに法科大学院(ロースクール)の受験申込をしました。資格試験の勉強も嫌いではなかったので、やってみようかと。
直感で申し込んだ司法試験
― 法律についての予備知識はあったのですか?
学問として体系的に学んだことは全くなかったです。最初は六法に何の法律が含まれるのかも知りませんでした。しかも、法科大学院では法律初学者向けの未修コースに入ったのですが、実際はほとんどの人が法学部卒で、未修は僕を含めて60人中4~5人しかいませんでした。ここでちょっと不安になりましたね。
ただ、当時はちょうどロースクール制度が始まって、受験科目が増えたタイミングだったので、増えた科目に関しては全員がほぼ未修だったんです。その科目で差別化出来るように努力して、得意科目にする戦略を立てました。
― やり切る力が強いですね。弁護士になった後のキャリアイメージは既にあったのですか?
それもなかったですね。
司法試験に合格した後に司法修習というのがあるのですが、大手弁護士事務所への就職希望者はこの期間に就職活動をして事務所を決めるんですね。それも知らなくて、気づいたら周りがみんな就職を決めていました。じゃあ弁護士以外の法曹、裁判官や検事という選択肢もありましたが、その2つは僕には特性がないなと思いまして。
弁護士にしても、弁護士という職業に対して自分の特性があるかどうかは不透明だったので、弁護士資格を持ちながら事業会社で働くという道を選ぶことにしました。
元々やりたかったのは証券会社の内勤の仕事でしたし、弁護士資格を持っていて内勤をやりたいと言ったら、今度はさすがに希望が通るだろうと思いまして。
ご縁があって、司法試験合格発表までの期間、ネット証券のマネックス証券で働く機会があり、とてもおもしろかったんですね。その後、ネット証券でありながら法人・個人向け双方でビジネスを進めているSBI証券を勧められて、転職しました。内示を頂きました。(社長指命は丁重に辞退して退職してしまいましたが。)