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監査役とは?会計監査・業務監査などの役割、設置義務、選任・解任方法を解説
目次本記事の内容
- 1.監査役とは
- 2.監査役の設置義務
- 3.監査役の役割
- 4.監査役の権限と義務
- 5.監査役監査とは
- 6.監査役の資格要件・種類
- 7.監査役の選任・解任
- 8.監査役の任期
- 9.監査役の報酬
- 10.監査役会・監査委員会・監査等委員会
- 11.コーポレート・ガバナンスと監査役
- 12.取締役会に頼られる監査役になるために
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1.監査役とは
監査役とは、株式会社の機関の1つで、株主によって選任され、業務執行に関する意思決定を行う取締役の職務執行を監査する権限を有しています。つまり、株主に代わって、取締役がきちんと業務を執行しているかをチェックする立場であり、取締役のように業務執行に関与する事はできません。
監査役 | 取締役の職務執行を監査する |
取締役 | 業務執行に関する意思決定を行う |
2.監査役の設置義務
監査役の設置は任意ですが、定款に定めることで監査役を設置することができます。ただし、取締役会設置会社・会計監査人設置会社は、監査役を設置しなければなりません。なお、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は、監査等委員会・監査委員会が設置され監査業務を行うため、監査役を設置することはできません。
設置義務有 | 取締役会設置会社(非公開会社で会計参与を置く場合は任意) 会計監査人設置会社 |
設置不可 | 監査等委員会設置会社 指名委員会等設置会社 |
任意で設置可能 | 上記以外の会社で定款の定めにより監査役を設置することが可能 |
3.監査役の役割
監査役の役割には、以下の3つがあります。
つまり、監査役の役割は、監査役監査と呼ばれる業務監査と会計監査を実施し、監査報告を作成する事です。
3-1.業務監査
業務監査とは、取締役の職務の執行についての監査を指し、取締役のもとで行われるすべての業務が法令や定款に違反していないことを監査します。取締役の職務の執行における監査のうち、下記については特に重要です。
①不正行為や法令・定款違反の事実及びその恐れの有無
②善管注意義務及び経営判断原則に基づいた意思決定状況
③取締役間の職務執行の相互監督状況
④競業取引・利益相反取引の承認状況
⑤関連当事者との一般的でない取引
⑥忠実義務違反の有無
⑦内部統制システムに係る取締役会決議の内容及び内部統制システムの構築・運用状況の相当性
3-2.会計監査
会計監査は、計算書類の適正性についての監査を指し、会社が作成した計算書類が正しく作成されているかを監査します。
ちなみに非公開会社においては、定款の定めにより、監査役の監査の範囲を会計監査に限定することができます。会計監査に限定された監査役は「会計限定監査役」と呼ばれます。
3-3.監査報告の作成
監査役は、監査報告を作成し、1年間の監査の結果を株主総会で報告します。具体的には、取締役の職務の執行についての監査役の監査の結果、また計算関係書類の適正性についての監査役の意見を監査報告にまとめます。
4.監査役の権限と義務
監査役には、監査の実効性を担保するため、会社法において以下のような権限が与えられています。
①取締役の職務の執行の監査(会社法381条1項)
②取締役に対する事業報告請求権、会社業務・財産状況調査権(会社法381条2項)
③子会社調査権(会社法381条3項)
④取締役会への出席義務及び意見陳述義務(会社法383条1項)
⑤取締役会の招集請求権及び招集権(会社法383条2項、3項)
⑥取締役の違法行為差止請求権(会社法385条1項)
⑦取締役と会社間の訴訟代表権(会社法第386条1項)
⑧取締役等の責任一部免除に関する議案等の同意権(会社法425条3項、426条2項、427条3項)
⑨被告取締役側への会社の補助参加に対する同意権(会社法849条3項)
さらに、監査役には特に強力な権限として以下の5つもあります。
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