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INTERVIEW

収益認識基準とは?適用に向けた5ステップ、実務上の流れ、およびIPO準備段階で求められる対応を解説


収益認識基準(収益認識に関する会計基準)とは?

1.収益認識基準(収益認識に関する会計基準)とは?

収益認識基準(収益認識に関する会計基準)とは、「顧客との契約から生じた収益(売上)を、いつ、いくらで計上するか」を定めた会計基準のことです。

収益認識基準は、2021年4月以降開始の事業年度より適用されています。 適用対象は、公認会計士の会計監査を受ける会社、つまり会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)および上場企業です。なお、上場企業が適用対象となることから、将来上場することを検討しているIPO準備企業においても、収益認識基準を適用する必要があります。

2.収益認識基準導入の背景

日本の企業会計における収益認識の会計基準は、以下のように定められています。

売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。

出典:企業会計基準委員会, 「企業会計原則」, 「第二 損益計算書原則 三B」

このように「実現主義」による考え方が原則として示されていたものの、収益認識に関する包括的な会計基準は開発されていませんでした。そこで会社は、実現主義である「出荷基準」「引渡基準」「検収基準」の中から自社に適した計上方法を選択して売上高を計上していました。 しかしそれにより会社ごとに収益認識のタイミングが異なることになり、作成した財務諸表の正確性や類似企業との比較可能性の観点で問題と捉えられていました。

このような状況を解消すべく、企業会計基準委員会は、国際会計基準審議会(IASB)が2014年5月に公表していた「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IFRS第15号」)を参考に、2020年3月に収益認識に関する包括的な会計基準として「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)」を定めたのです。

なお、収益認識基準は、原則主義であるIFRS第15号を参考に作成されているため、抽象的な表現が少なくありません。適用に際して、まずは収益認識基準の概念を理解すること、その上で、自社の業種・業態に応じた適用方法を検討していく必要があります。

3.会計基準の適用範囲

収益認識基準は、顧客との契約から生じる収益に関する会計処理に適用されます。以下7つの取引は、収益認識基準以外の会計基準が適用されているため、例外的に収益認識基準の適用対象外となります。

(1) 金融商品会計基準の範囲に含まれる金融商品に係る取引
(2) リース会計基準の範囲に含まれるリース取引
(3) 保険法における定義を満たす保険契約
(4) 顧客又は潜在的な顧客への販売を容易にするために行われる同業他社との商品又は製品の交換取引
(5) 金融商品の組成又は取得に際して受け取る手数料
(6) 不動産流動化実務指針の対象となる不動産の譲渡
(7) 資金決済法における定義を満たす暗号資産及び金商業等府令における定義を満たす電子記録移転有価証券表示権利等に関連する取引

出典:企業会計基準委員会, 「収益認識に関する会計基準」, 「Ⅰ.範囲」

4.収益認識基準「5つのステップ」

収益を認識するための手順として、次の5つのステップを検討します。


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