インタビュー&コラム
『いまを極めて、ニッチな選択が出来る人材に』 CFOインタビュー
『食を通じて世界中の人々をHappyに。』
世界に誇る日本の文化であり、世界中の人々の暮らしの中心でもある「食」という分野でお店を探す人とお店の人の双方がHappyになれる、そんな世界を実現したいと、おすすめによって人々を幸せにする、実名グルメ口コミサイト「Recommend+Happy=Retty」を運営している同社。この度10月30日に東証マザーズに新規上場した際の牽引役であるCFO土谷氏にお話を伺いました。
2020年に上場する理由
-さっそくですが、上場(取材当時は承認)おめでとうございます。今年はコロナウイルスの影響がありましたが、この状況下での上場は大変だったのではないですか?
そうですね、かなり大変でした。でも今までも色々なハードシングスがあったのでその中の1つと捉えています。
-さすがですね。以前投資ファンドに入らっしゃった時にもIPOを経験されていますが、ハードシングスの中にはその当時のことも含まれていますか?
ファンドに在籍していたときにハンズオンで株式会社ホットランドでIPOを経験しました。その時も相当大変でしたね。
-株式会社ホットランドは、銀だこを展開されている企業さんですね。飲食だとお金の動きも細かく沢山発生しますし銀だこは店舗数が多いので考えただけで上場準備は相当大変そうだなと感じます。
そうなんですよね、本当に。銀だこは当時すでに200店舗以上ありました。そのようにある程度の規模になっている ところに対して上場するために仕組みを導入していくというのは大変なことでしたね。
―ファンドからは何名かのチームでホットランドさんに入られたのですか?
メンバーは、ファンドの社長、パートナー2名と自分の4人でした。ただ、現場に入り込んだのは自分1人でしたので、監査法人時代の公認会計士の後輩に入社してもらい、監査法人も前職の有限責任監査法人トーマツにお願いするなど、IPOに向けたチームビルドはほとんど自分でやっていました。
また、主幹事の証券会社も非常に優秀なメンバーをアサインしてくれてかなりIPOチームは強固な体制に出来ました。尚、実は今回のRettyのIPOについても、その証券のメンバーにお願いして引き受けて頂いたんです。
-そうだったのですね。それなら今回は大分心強かったですね。
そうですね。信頼できるメンバーが揃っていましたし、彼らも全力で頑張ってくれました。それに、もちろん社内メンバーの相当な頑張りもあって乗り越えられたと思っています。
特に社内メンバーでいうと、今回は前回と比べてIPO準備に関わる人数が1人少なかったんです。その分その1人あたりの負荷は今回の方が大きかったと思います。
-2020年のこの時期に上場することに対して、周囲の反応はいかがでしたか?
今回、ロードショーで国内のみならず海外も含めて100社近く回らせてもらったのですが、皆さんからそこを聞かれますね。なぜ今なのかと。特に飲食業界はなかなか先が見えない中で、かつバリエーション自体もそんなに上げられないだろうと思われる中で、どうしてやるんだと聞かれました。
-それはなんと答えられたのですか?
ひとつは、この新型コロナウィルスのような影響が将来また発生しないとは限らないので上場できるときに上場した方が良いと考えておりました。それとバリエーションについてもきちんと業績を上げていけば、いつかついてくるものだと思っていましたので、一定程度の時価総額があれば、そこはあまり問題ではないと考えたんです。
あとは、飲食業界に対しての希望になれたらという想いがありました。我々が率先してこの時期に上場することによって、飲食業界が盛り上がってくれれば良いかなと。国の施策として飲食を盛り上げるGo To Eatも始まるタイミングでしたし、そういう事を考えてこのタイミングに決めました。
-確かに、私もまさにこの時期飲食店に関わっていたので実感していますが本当に先が見えなくて不安な日々を過ごしました。Rettyさんのように現場とは違った立場で業界をリードしてくださる存在があると、とても心強いですね。
ありがとうございます。このタイミングで我々も色々動いて。例えば全国のテイクアウト情報を提供したりとか、Retty Oederというモバイルオーダーもテスト店舗での導入を開始していて、飲食店のDX化を支援する動きをしています。
このようにこの混沌としたタイミングで色々な新たなことをチャレンジすることで、逆にプラスに持っていけたかなと感じています。その結果、投資家からの評価も高まったと思っています。
以前からコミュニケーションを取っている幾つかの投資家からは今回みたいなハードシングスが生じた際の対応でマネージメント層の評価ができるが、Rettyは様々な手を打っていてしっかりと対応が出来ているねと仰っていただきました。
-たしかにこのハードシングスは皆に平等ですものね。
そうなんですよね。そこをどう乗り越えようとしているのか、どうチャンスに変えていくのかというところが非常に重要で、それが出来たのは非常に良かったと思います。
あと大きかったのが、早めに止血に動けたことです。コスト削減プランを役員全員で作りあげて即座に実行に移しましたし、銀行さんから借入金額の枠を増やすなど今後の資金の確保に向けた動きがかなり早かったと思っています。早いタイミングでコロナが直ぐに収束しない最悪なシナリオでも何年間か生きられる資金を確保出来たので、前向きな打ち手を考えられるタイミングを早く出来たなと思います。
監査法人時代の銀行監査の経験やエクイティーよりもデッドをメインとした資金調達をしていたホットランドの経験がかなりいきたと思っています。
-ご経験もいきて、リスクヘッジが相当早かったのですね。
そうですね。社長の武田と密に相談しながらやっていましたが、直ぐに資金確保が出来たことは武田にとってもかなりの安心材料になったと思います。
VCの方からもそこを評価して頂いたようで、VCが関与する他の会社から何をどう動いたらその様に直ぐに資金確保が出来たのかと聞かれたりもしました。