インタビュー&コラム
INTERVIEW

2018年1月~9月【上場市場・主幹事証券・監査法人・証券代行・証券印刷別 IPO件数】


IPO(Initial Public Offering)とは、「新規公開株」や「新規上場株式」のことを意味しています。上場し、株式を市場で公開して、誰でも株の売買が行えるようにすることを言います。IPOには、IPOを支える独自の役割をもった組織が関わっており、一般にそれらの組織をプレーヤーと呼んでいます。IPOプレーヤーのなかには、様々な組織がありますが、主なものとしては証券取引所・主幹事証券・監査法人・証券代行・証券印刷があげられます。ここでは、それらの役割を簡単におさらいすると同時に、2018年1月~9月のそれぞれの実績を見ていきます。

上場市場

新規上場市場を大きく分けると、「本則市場」と「新興市場」に分けられます。本則市場には東京証券取引所の場合、東証1部と東証2部があり、名だたる大企業や力のある中小企業が属しています。上場市場とは、株を売買する市場ということであり、本則市場はもっとも高い基準をクリアした企業だけが存在する市場です。基準を満たさなくなった企業に対しては、降格されることもあります。それに対し、新興市場はそれよりも緩い基準が設けられており、今後の成長を見越した企業がこの市場で上場することになります。新興市場には、マザーズやジャスダックがあり、大手とは言えないまでも、勢いのある企業が集まると言うことができます。2018年1月~9月の新規上場企業社数(TOKYO PRO Marketを除く)は全部で60件、そのうち東証1部が5件、東証2部が4件、マザーズが43件、ジャスダックが8件となっています。市場別IPO数ランキングで、1位がマザーズ、2位はジャスダックという順位はここ数年ほぼ変わりません。昨年を通してマザーズで上場した企業は49件でしたので、今年はそれを上回ることが予測されます。また、3月決算の企業が多いことから毎年12月に年間の2~4割のIPOが集中することから、プレーヤーの実績は12月の結果次第で大きく順位が変動する傾向にあります。

主幹事証券

証券会社とは、企業から株式を取得して第三者との取引を仲介するという役割を持っています。その取引を行う証券会社を幹事証券会社と言いますが、株式には様々なリスクが伴うため、複数の証券会社が引受シンジケート団(引受シ団)を組織しています。その際に主導的役割を担う会社を、一般に「主幹事証券会社」と呼んでいます。主幹事証券会社は、企業に対し助言などを行い、上場準備のコンサルティングや業績の向上に貢献してくれます。過去5年間では野村證券がトップ4回と人気ですが、2018年1月~9月は比較的分散しており、トップがみずほ証券の16件、1件差で野村證券が15件、3位のSMBC日興が11件、次いで大和証券とSBI証券が7件となっています。

監査法人

監査法人とは、5人以上の公認会計士を社員とする法人のことを言います。主な役割としては、決算書類のチェックになります。2008年以降から、上場企業には内部統制システムに関する報告書である「内部統制報告書」の提出が義務付けられており、これを提出する際にも、監査法人のチェックを受ける必要があります。そのため、上場企業は監査法人と継続的に契約することになるのですが、選択の基準としては大手の監査法人が好まれることが多いです。好んで使用される監査法人には、EY新日本有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツがあり、ここ2年はEY新日本有限責任監査法人がトップの件数を誇っていましたが、昨年2017年ではトーマツが1位になりました。2018年1月~9月では、EY新日本が21件、あずさが17件、トーマツが14件であり、この三者だけで80%以上のシェアを持っています。ただし、最近では会計士の人手不足などを理由に大手監査法人がIPOの新規契約を控えていることから、今後は準大手や中小の監査法人も件数を伸ばしていく可能性があります。

証券代行

会社法で規定されている株主名簿管理人のことを証券代行と呼びます。株主全般にかかわる事務処理の代行をしてくれる機関です。株主が少ない非上場会社の場合、このような機関のお世話になることはあまりないのですが、株主が多数となる上場会社では、証券代行をおこなう信託銀行や証券代行専門会社と契約を結んでいることが必要になります。実際、上場の審査には、株主の管理体制が整っているかどうかを見られますので、上場企業にとっては不可欠な存在だと言えるでしょう。過去5年、三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行の3社合計が全体の9割以上を占めており、三菱UFJ信託銀行がトップ3回、5割近いシェアを持っていました。2018年1月~9月では、三菱UFJ信託銀行と三井住友信託銀行22件で首位、次いでみずほ信託銀行14件となっています。昨年31件で2位の三井住友信託銀行が今年は三菱UFJ信託銀行に肉薄しています。

証券印刷

証券印刷会社は、株券や有価証券報告書などの開示書類を専門として印刷する会社になります。以前は、取引所が定めた基準を満たす適格株券を印刷していましたが、電子化された後は、株券の発行は行っておりません。たとえ上場前だとしても、目論見書や有価証券届出書などの財務局や投資家に配る資料を専門的な観点からチェックし、相談にものってくれるという重要な役割を持っています。申請書類のフォーマットを持っていたり、各書類に関するコンサルティングもしたりするので、やはり重要なプレーヤーの一つです。証券印刷会社は主に2つであり、宝印刷とプロネクサスの寡占市場となっています。2018年1月~9月では、宝印刷21件、プロネクサス39件となっています。2017年が、同34件、56件でしたので、今年も現時点ではプロネクサスが6割以上のシェアでリードしています。