上場までの道のり
ROAD TO IPO

9.主幹事証券会社の決定

主幹事証券会社は、上場時に引受シンジケート団に入る他の証券会社とともに引受を行うため、証券取引所の審査に先立って主幹事証券審査(引受審査)をおこないます。
その為、株式公開引受部署が、上場準備に関する様々なコンサルティングを行い、審査に関する部署が株式公開引受部署から独立して審査を行います。
主幹事証券会社は上場申請の日程や手続き等を管理し、証券取引所との折衝もおこなう大きな存在であるため、しっかりと検討する必要があります。
また、上場を目指す市場を決定し、形式基準要件の目標を確認します。

※ただし、昨今では上場準備を行う企業数が多いため、n-1期から主幹事証券会社を選定しても、スケジュール通りに審査が進まない可能性もあり、n-2期やn-3期以前から主幹事証券会社を選定する会社が多くなっています。

10.申請資料作成準備・印刷会社と契約

直前期に入ると、Ⅰの部やⅡの部といった上場申請書類の作成準備に取り掛かります。
この時、Ⅰの部を作成するにあたって印刷会社と契約することが殆どです。
印刷会社はⅠの部等、上場時の申請書類の作成や上場後の有価証券報告書等、開示書類の作成を行い、適法性を担保するための開示書類作成システムの提供をしています。
大きく2社がシェアを分けており、双方を比べて判断するのが一般的です。
印刷会社も規程の雛形等を用意しており、書類作成に関して様々なサービスを受けることができます。
株券の電子化が実施されていますので、株券を印刷する必要は無くなっています。

11.ガバナンス体制の構築・運用

管理部門内の体制構築や内部統制フローの構築はもちろん、監査役会もしくは監査等委員会の設置、内部監査体制の構築、リスクコンプライアンス委員会の設置等、ガバナンス体制を構築し、運用を開始します。
証券審査までにある程度の運用実績が必要になりますので、遅くとも直前期までの運用をスタートしている必要があります。
実際に、監査体制を整備して運用を始めることで、上場準備において審査時に問題になるようなことが事前に発見できるという利点もあり、監査を手抜きすると、逆に審査時に大きな問題が発覚し、上場できないというリスクもあります。

12.予実の強化

事業計画において策定した単年度および中期の売上や費用、そして利益について、予算と実績の差異分析を行い、予算策定の精度を高めると共に、実績において予算と乖離しないように事業を遂行していく必要があります。
尚、上場審査においては、投資家保護の観点から、予算を実現できる根拠となるロジックがしっかりと構築されているかどうかを見られますので、係数的な視点から事業の中身を分解し、KPIとして数値化していく必要があります。