管理部門の採用
RECRUIT

3.経理、財務



スタートアップやベンチャー企業の場合、経理の増員はIPO準備においてほぼ必須となり、管理部門の求人で最も依頼が多い職種。内部牽制の観点からも、記帳を行う経理と、出納を行う財務とをそれぞれ別の担当者が行わなくてはならない。(財経分離)最低人数としては経理1名と財務1名とそれらをチェックして承認する監督者(CFOや管理部長、経理財務部長/マネージャーなど)が必要となる。



また経理は特に、非上場会社の会計基準から上場企業の会計基準へと移行する作業が発生するなど業務量も多くなるため、余裕をもってマネージャー(リーダー)クラスとスタッフクラスの2名以上の体制で準備に臨めることが望ましい。経理マネージャークラスは、上場企業での開示経験者、子会社を有する場合は連結決算の経験者がベスト。年収や採用の難易度はやや高めとなるが、経理財務マネージャーとして公認会計士の採用も有効な手段の一つ。



IPO準備で発生する具体的な作業としては、税法ベースの会計基準から会社法・金商法ベースの会計基準への移行、月次及び四半期決算の早期化、内製化、子会社を有する場合は連結決算の導入、業種によっては原価計算(管理会計)の導入、上場申請書類(Ⅰの部、Ⅱの部)の作成、会計ソフトの入れ替えの対応などが求められ、特に直前期(n-1)には作業量が増加する。また、経理の本番はIPO準備だけでなく、上場後に適性に開示できる体制が求められるため、申請期であっても、上場後を見据えた人員体制を考え、必要に応じて採用活動を継続する必要がある。

年収の目安

■スタッフクラス
年収400~500万円程度
年齢が若いほど、上場企業または上場準備経験者の採用は難しいため、できるだけ対象年齢は幅広に簿記2級以上の資格者や月次決算の経験者を採用したい。経理財務はIPO準備企業の管理部門求人で最も多く、20~30代は超売り手市場になるため、あくまでも実務が任せられることを前提に、40~50代以上へターゲットの幅を広げると、より採用の可能性が高まる。

■リーダー~マネージャークラス
年収500~800万円程度(会計士の場合600~1000万円程度)
上場企業または上場準備経験者を採用し、実務及びスタッフのマネジメントができる人材。リーダーであれば、20代後半から30代、マネージャーであれば30代~40代半ばが一般的だが、実務も厭わない人材であれば、スタッフクラスと同様に50代以上の人材も経験豊富で且つ比較的採用し易い。また難易度や年収はやや高めだが、IPO準備中は、監査法人(公認会計士)とのやり取りが増えることから、マネージャークラスには公認会計士を採用することも検討するとよい。