インタビュー&コラム
INTERVIEW

新規上場を狙う企業が増える今、IPO達成に何が必要か?


ディスクロージャー実務支援のリーディングカンパニーに聞く

企業のディスクロージャーやIRを支援する専門会社の株式会社プロネクサス。2017年のIPOディスクロージャーにおける上場申請書類受注実績はシェア62%で、顧客のニーズや意見を汲み取ったきめ細かなサービスの提案で支持されている。同社営業開発部IPO担当のチームリーダーの遠藤義明氏、主任の片倉智耶子氏、市川大翔氏に、同社のサービス内容の特徴やIPO達成のポイントを聞いた。

株式会社プロネクサス
前身企業は証券・株券印刷の専門会社として創業し、そこで培われた正確性・情報セキュリティ・納期厳守をベースにディスクロージャー・IR実務支援事業を展開。1984年からは30年以上にわたり累計2,000社以上のIPO開示実務をサポートしている。


営業開発部IPO担当 チームリーダー 遠藤義明氏

「どこから手をつければ…」という段階から手厚く支援 IPO達成のためのトータルサポートを提供

御社のIPO支援についておしえてください。

遠藤:私たちはディスクロージャー支援会社として、上場申請書類の作成のための手引書の提供、Ⅰの部・Ⅱの部・マザーズ各種説明資料等の書類作成を直接指導する「書き方教室」などセミナーの開催、開示書類作成支援システム「PRONEXUS WORKS」、IRサイト自動更新システムの「E-IR」など、IPO準備全般に関わる多様なサービスを提供しています。

書き方教室はIPO準備の入門編のようなセミナーで、書類準備についてどこから手をつければいいのかわからない実務担当者の方に、分厚い手引書の中でも特に大切なポイントを3時間で解説しています。これは当社のお客様だけでなくIPOを目指す企業を幅広く対象に開催しています。

市川:書き方教室の他にもIPOに特化したセミナーを年10回以上開催しています。人事労務、資本政策、法務、内部統制、収益認識等、基礎的な部分から最新情報まで網羅した内容となっており、お客様へのアンケートで要望のあったテーマも随時反映しています。セミナーでは、他社の実務担当者や、講師に招いた弁護士、東証の方などIPO関係者と名刺交換できるので、人脈づくりも同時にできる場として好評です。参加費無料で気軽にご参加いただけるセミナーを多数ご用意しています。

IPOを達成するには正しい情報と計画的な準備が不可欠です。御社にはどのような支援サービスがありますか?

遠藤:当社では「ディスクロージャー実務研究会」を主催しており、会員様はディスクロージャーに関わる実務能力・ノウハウの向上に役立つセミナーを無料または割引で受講していただけます。また、様々な企業情報、経済情報を収集し、コンプライアンスチェックツールとしても活用できる日本最大級の会員制ビジネスデータベースサービスである日経テレコンを特別価格でご利用いただけます。

片倉:コンプライアンスの観点では、IPO準備の早い段階で、従業員や取引先に対する反社会的勢力のリスク調査(反社チェック)を比較的早い段階で行うようにと指示されるようです。企業によっては、日経テレコンの機能を利用することで反社チェックも可能になることからN-3期から入会を希望されるケースもあります。

遠藤:このほか、各種手引き・フォーマット・他社事例データベースを提供する当社独自の情報サイト「PRONEXUS SUPPORT」の有料コンテンツもご利用いただけます。

御社の強みはどんなところでしょうか?

遠藤:常にお客様の声を反映し続けていることです。セミナーの充実や手引書はもちろんのこと、システム面でもお客様の声を活かしています。法律・制度で定められた開示を適正に、効率的に行うには、開示書類作成支援システムが欠かせません。当社のシステム「PRONEXUS WORKS」は、日頃お使いになるオフィス系ソフトに近い直観的なインターフェースのため、初めて利用するユーザーにも使いやすく、言わばジョブローテーションにも対応しやすいシステムです。これらのサービスはすべて当社から生まれ、業界のスタンダードになりました。お客様の要望を踏まえたバージョンアップを年に数回実施する等、お客様と一緒に作り上げていくシステムとも言えます。このように顧客ニーズを絶えず汲み取りながら、それを具現化したサービスを先駆的に提供してきた姿勢がお客様に共感していただけていると考えています。


営業開発部IPO担当 主任 片倉智耶子氏

IPO達成とは 数百社の予備群から上位90社に入ること

2017年はIPO件数が90件となり、過去10年で2番目という高水準でした。新規上場を目指す会社が非常に多い今、IPOを達成するためにはどんなことが大切なのでしょうか?

片倉:上場に向けて一度スケジュールを立てたら、理由にもよりますが、できるだけ延期をしないことが大切だと感じています。期限から逆算して今やるべきことに最大限の力を注ぎ、もし課題があっても安易に延期せず、真摯に向き合って解決することが大切だと思います。

市川:IPO予備群である未上場企業は、当社のディスクロージャー実務研究会の会員だけでも数百社に上ります。IPO達成とは、この数百社の中から「ベスト90」に入るということです。つまずきやすいポイントは、人事労務、内部統制など企業によって千差万別ですが、小さな課題を先送りにすると、その分IPOへの道のりが遠くなります。

遠藤:小さな課題を先送りにすると、そこからすべてのスケジュールが崩れます。今まで数々の企業を支援してきましたが、結局一つひとつ着実にやるしかありません。

IPO担当者に求められるのは、どんな能力でしょうか?

片倉:準備企業のトップは多方面にアンテナを立ててさまざまなアイデアを出す方が多いのですが、そのアイデアを受け止めてどのように形にしていくのかを考え、実行に移せる人材が社内にいることは、IPO達成に向けて大きなアドバンテージになります。準備をスケジュール通りに進めるためにも重要な要素ですので、適任者が社内にいなければ、社外から人材を獲得するのも一つの方法です。


営業開発部IPO担当 市川大翔氏

良きパートナー選びがIPO達成の必須条件

主幹事証券会社や監査法人など、企業と共にIPO準備にあたる関係者はどのような基準で選べばいいのでしょうか?

遠藤:大切なのは相性です。「○○が利用していたから」「費用が安かったから」といった理由ではなく、IPOを目指すパートナーとして正直ベースで話せる担当者がいる関係先を選んでいただくことが成功の秘訣です。

市川:IPOを目指すベンチャーの管理部門の方々は社外の横のつながりで口コミが広がるのですが、皆さん「自分たちの事業を理解してくれるか」という点を重視しています。自社のファンになり、事業の成長を応援してくれる関係者をパートナーに選ぶべきだと思います。

片倉:IPOを目指す企業が多い今、証券会社や監査法人が時期尚早だと判断すれば、企業側の思いだけでは前に進められないケースもあると思います。今の段階でどこを修正すれば事業が大きくなりIPO関係者が求めるステージに行けるのかを証券会社や監査法人に直接聞いたり、IPOに関するセミナー等で情報収集したりすることをおすすめしますが、重要なのはそうした課題が共有でき気軽に相談できるパートナーをまずは選ぶということではないでしょうか。

最後に、御社の今後の取り組みなどについて教えてください。

遠藤:具体的なサービスは冒頭でお話した通りですが、これまで通り、今後も実際に当社のサービスをご利用いただくお客様の生の声を取り入れながら、最新のトレンドに沿ったサービスを提供していきたいと思います。上場準備における当社の立場は、証券会社や監査法人と比べれば黒子役の立場だと考えていますので、縁の下の力持ちとして、上場準備中、そして上場後も、永くお付き合いしていただけるよう担当者一人ひとりが心がけています。

株式会社プロネクサス PRONEXUS INC.
https://www.pronexus.co.jp/pronexus/info/
住所 〒105-0022 東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング5階
創業 1930年12月
設立 1947年5月
従業員数 1,074名(連結)724名(単体)


株式会社プロネクサス

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