インタビュー&コラム
INTERVIEW

IPO成功の秘訣は資本政策にあり


豊富な経験と実績を誇る業界最大手のIPOコンサルタントに聞く

会社の経営相談のパートナーとして長年の歴史と豊富な実績を有し、業界最大手のIPOコンサルティング会社である株式会社AGSコンサルティング。会計のプロフェッショナルから見たIPO成功の秘訣とは?ビジネスソリューション事業本部IPO部門長で税理士の中村宏氏、IPO事業部事業部長の末廣正照氏に聞いた。

株式会社AGSコンサルティング
1970年に創業。2020年に50周年を迎える会計事務所。税務顧問、IPO支援、M&A支援を中心に事業展開している。IPO支援は、東京・名古屋・大阪・福岡・シンガポールを拠点にスタッフ約70名体制で年間約200のプロジェクトを支援(2019年4月時点)。さらなる業務拡大に向けて今後5年間で倍増する勢いで事業拡大を進めている。

ビジネスソリューション事業本部 IPO部門長 中村 宏 氏

IPO成功の秘訣は資本政策 シード期・アーリー期から支援

御社のIPO支援についておしえてください。

中村:私たちのIPO支援は1999年にスタートして、今年で20年目を迎えます。これまでに株式会社ユーグレナ様や株式会社マネーフォワード様などをサポートしており、2018年はIPOを達成した90社中16社(17.8%)に関与いたしました。

AGSは、IPO 専業ではなく複合的なコンサルティングメニューを備えている総合力や、IPOコンサルタントが70名以上在籍する組織力をお客様からご評価いただいており、比較的大型のIPO案件のご相談が多いと言えます。申請書類を作るのみではなく、資本政策、会計制度、内部管理体制といった経営管理体制を株式上場に耐えうるものに整えていくこと。それが私たちの強みだと思います。

会計事務所であるAGSが行う、IPO 支援として提供する資本政策のサポートは、特に大きな強みではないでしょうか?

中村:IPO成功の秘訣は、資本政策に失敗しないことです。オーナー様100%から株式上場に至るまでの株主の変遷をいかに行うか、オーナー様に資本政策のポイントをご理解いただきながらステップを踏んでいただくことが非常に重要で、そのご支援が私たちの重要な役割と考えています。

資本政策は特にベンチャー企業が誤りがちなポイントであり、誤りに気付いても後戻りができません。よくあるのは、最初に入ったVCへの割当比率が高すぎる、ストックオプションを初期に発行しすぎてその後のインセンティブプランを設計しづらい、事業に必要な資金と資金調達のバランスが悪い、といったケースです。そういった状況に対応するためにも、私たちは、シード期、アーリー期のベンチャー企業への関与に力を入れています。

末廣:資本政策が失敗する一番の原因は、事業計画が漠然としていることです。この2つは必ず連動しているので、事業計画を見直すだけでも大きな効果が期待できます。

また、VCが入る前はオーナー様が資本政策についてしっかり考えていないケースが多いです。VCは、自分たちの投資利回りについては十分検討する一方、オーナー様の資本政策までは考えてくれません。そのため、大掛かりな資金調達前には私たちがオーナー様側に立って親身なアドバイスを差し上げることがよくあります。

またIPO支援と親和性の高い分野として、ファンドのアドミニ業務のサポートや投資先に対するモニタリングサポート等、ファンド支援を含めたベンチャーサポートも手がけています。政府系ファンドの100億円規模のヘルスケアファンドや、大手食品メーカーのCVCファンドのサポート等をおこなっております。

IPO事業部 事業部長 末廣 正照 氏

東証が「Ⅱの部」の記載要領を改訂 スケジュールの前倒しが必要に

最近のIPOの動向についておしえてください。

末廣:日産自動車のゴーン前会長が逮捕されるなど上場企業の不祥事が毎年のように起きていて、上場企業の下方修正も相次いでいることから、東証も主幹事証券会社も審査をより厳しくしています。ガバナンス、コンプライアンスの実効性や運用について、かなり本質的なチェックがなされていると言えます。

中村:具体的には、形式的な内部監査が行われていないか、勤怠管理などが牽制の効いていない承認体制になっていないか、といった点です。予実管理についても、事業の成長性に対してどのようなKPI管理、プロセス管理がなされているかまで確認され、それらを継続的に確認できない場合審査が長期化するような状況になっています。

また、東証が2018年12月にⅡの部(上場申請のための有価証券報告書)の記載要領の改訂が発表されて、これまで申請期に運用実績を示せばよかったものが直前期に前倒しされるなどの大きな変更がありました。証券会社の審査への対応も含めて考えると、IPO準備に半年から1年前倒した対応が必要になった感覚です。

IPOを達成できるのはどんな会社でしょうか?

末廣:「会社の成長には何としても株式上場が必要だ」という強い信念があること、また腰を据えて事業の成長に取り組んでいることです。さらに「採用力アップのために信頼を高めたい」「資金調達しながら開発計画を達成したい」などコーポレートストーリーの中でIPOの目的が明確になっている会社も確度が高いです。

中村:IPO準備では様々な対応が求められますが、株式上場する会社の経営者は小手先の対応は行いません。真摯に受け止め、謙虚に取り組み、実直に対応していきます。だから事業も上手くいくでしょうし、会社の良い文化も育まれるのでしょう。経営者にとっては、証券会社や監査法人からのアドバイスは、会社へのダメ出しに感じられることもあるかもしれません。そのようなときに、私たちAGSは経営者に寄り添う姿勢を大切にしています。日頃から経営者の経営相談で豊富な経験がある会計事務所であるという点が、他のIPO専業ファームとは大きく異なる点ですね。
AGSは「外部CFO」をコンセプトに掲げており、会計事務所という狭いドメインではなく、経営全般を広くサポートする存在でありたいと心がけています。

IPO準備は会社を強くしてくれる 覚悟を持って臨んでほしい

これからIPOを目指す経営者や管理部門の方にメッセージをお願いします。

中村:IPOは目的ではなく手段とよく言われますが、会社を成長させる上で非常に良い手段です。 IPO準備を通して会社が強くなることで、上場後も成長を続けられると思います。ぜひ IPOを 目指していただきたいです。

末廣: IPO準備は会社を強くする行為そのものであり、仮に上場しなかったとしても「やってよかった」という声が聞こえます。膨大な時間や労力がかかりますが、やればやるほど発見や気付きがあるのでおすすめします。経営者にとっては、意思決定が組織的に行われるようになっていくことが少し寂しく感じられるかもしれませんが、会社が成長することに非常にやりがいがあると思います。

代表取締役社長 廣渡 嘉秀 氏

同社代表取締役社長の廣渡嘉秀氏からもメッセージをいただきました。

廣渡:多くの会社がIPOを達成できるようになってきましたが、私からはあえて「IPOを甘く見ないほうがいい」とお伝えしておきます。東証のコーポレートガバナンス・コードを最後まで読んで実現できると言えなければ、甘っちょろい上場はしないほうがいい。難しいと思った経営者は、選択肢として会社を売却したほうが簡単かもしれません。「上場はゴールではなくスタート」とよく言われますが、本当に実践できている経営者はそう多くありません。上場後も経営者の信念、ビジネスモデル、会社そのものを高め続けることが求められますから、ぜひ覚悟を持って臨んでいただきたいと思います。

株式会社AGSコンサルティング
http://www.agsc.co.jp/
住所 東京都千代田区大手町1-9-5 大手町フィナンシャルシティ ノースタワー24F
創業 1970年
設立 1988年
従業員数 374名(公認会計士57名、税理士75名) ※2019年4月現在


株式会社AGSコンサルティング

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