インタビュー&コラム
INTERVIEW

何のために行われているのか知ってる?初めてでもわかる「株主総会」


あまり経営に詳しくない方でも、多くの方は株主総会という言葉を聞いたことがあると思います。しかし株主総会についての詳しい説明を求められると困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、株主総会とはどういったものなのか、実際になにを行うのか、分かりやすくご紹介します。

株主=出資者
企業の株をたくさんの方に買ってもらい、そのお金で運営をしている企業が「株式会社」です。これに対し、自分でお金を出し経営していく会社を「持分会社」と呼びます。合同会社、合資会社、合名会社などがそれにあたります。

企業の未来に投資をする、または資金運用のため株を買うなど、理由はさまざまですが、出資した企業であればその経営状態や今後の方針などが気になると思います。加えて、出資しているなら経営陣や組織の構成員、ルールや運営方法など、意見したくなる方も多いでしょう。そうした、経営状態を聞いたり、意見を述べたりする機会を株主のために設けたのが「株主総会」です。

株主総会のピークは毎年6月に訪れます。これは4月を年度始めとしている企業が多く、年度末の3月に決算日を迎え、且つその3ヶ月以内に株主総会を開催しなければならないという規定に従っているためです。
毎年5月頃から株主総会は開かれますが、やはり6月に開催する企業がとても多い状況です。
出席株主の人数にもよりますが、三菱UFJフィナンシャル・グループは特に出席株主数が多く、毎年日本武道館で株主総会を開催しています。企業にもよりますが、所要時間はおよそ1時間半~2時間前後が多いようです。

株主はさまざまな決議案に対する議決権を持っており、株主総会では議決権を行使することが可能です。ちなみに都合がつかなくて出席できないという方にも、事前に招集通知が届き、添付された参考書類の内容に対して書面やインターネットを通じて議決権を行使することができます。
アメリカでは1人1議案のみ提案できるというルールですが、日本はこれまで提案の内容や数に制限を設けておりませんでした。しかし1人の投資家が100を超える提案をしたり、経営学的見地から検討がなされるべき提案のはずが、荒唐無稽な提案内容であったりと、本来の株主総会の目的から外れているものもありました。そのため、今後は提案数を1人5~10に制限したり、内容にも規制をかけたりするなど、「会社法」が大きく見直される様子です。

また、株主総会ではお土産を渡している企業が多くあります。しかしお土産は出席株主のみに渡されるため不公平が生じるなどの理由で廃止する企業も増えつつあります。中にはお土産を廃止し、懇親会を開く企業もあるようです。これは経営陣と出資者が近くで話ができることから好評を得ているようです。

株主総会の内容
それではおおまかに株主総会がどのような流れで進むのかをご説明しましょう。(当日のスケジュールのみとします。)

【株主数報告】
議決権を有する株主数や、委任状を含めた出席株主数を発表、各議案審議のための必要定足数が満たされていることを報告します。
【監査報告】
監査役から、監査結果の内容が報告されます。
【賃借対照表・損益計算書の内容説明】
企業の経営状況を、実際の数字を見ながら説明します。
【決議事項の説明】
定款の変更や組織編制、役員の選任・解任、余剰金の配当、役員の報酬などを決議します。
【質疑応答】
株主の質問や意見に対し、取締役や監査役は説明をする義務があります。多い企業では20名を超える株主からの質問が上がったりします。

漠然と捉えていた株主総会も、ひも解けば分かりやすく納得のいく内容になっています。
自分のお金で立ち上げた会社であれば、経営状況は気になって仕方がないはずです。それが「出資者」という立場になっただけで、やはり株主になれば経営状況が気になるものです。「経営」という視点から株主総会を見てみると、これまでとは違った気づきが発見できるかもしれません。